のびのび通信2018年度より 幼児午後クラス

 午後の幼児クラスは、自由に遊ぶ自主活動、学習支援の個別支援活動、皆で一つの活動を行う集団活動の三つの活動から成り立っています。

 『学習支援』の時間では、自由に遊ぶ自主活動とは違い、スタッフが用意した課題を行います。与えられた課題に取り組む楽しさを知る経験の一つと考えています。



 のびのびで、学習支援を幼児に行う中で、こどもが一番変わること、それは「自信がついていく」という事です。「わかるようになる、出来るようになる」ということが、こんなにも子どもに影響するのか、と不思議で仕方ないのですが、マリア・モンテッソーリが発見した事は本当だったのだと言わざるを得ません。自信がついてくると、穏やかになり、前向きになり、とその子の良いところが表面に現れてきます。



 こういう学習支援を行うために、子どもの興味が持てる物は何なのか、その子の能力に合った教材はどんなものか、を考えたり、今後学習を進めていく上で、下準備としてスモールステップで経験すべきことは何なのか(例えば、今後鉛筆などを使うにあたり、下準備として、手先の活動の穴落としや紐通しなど)を考えています。



 


 また自閉的傾向を持っているため、興味の幅が狭い、偏りがある、という子もいますが、その子が興味を持てる教材としては、どんなものを用意できるのかを考えて工夫しています。


例えば、動物好きな小さい子なら、穴入れのピッグを動物に、紐通しのビーズを動物に、また数字を数えるプリントも動物柄にし、ひらがなは「あひる」の「あ」で教えたり、乗り物好きなら電車柄、女の子の今日のワークブックのページにはピンクのクリップを付けたりしています。


また、「今日は何人来てる?」「何個ある?」と数量に興味を持ち始めている子には、そういったワークをさせてあげたいのですが、数字を書くのは苦手という場合は、数字のシールを用意したり、という工夫をしています。ひらがなの場合も同じように工夫しています。




 


 また、その中で気を付けているのは、子ども同士の学力を比べない事です。各自自分に合った課題に取り組んでいるので、内容は一部同じになることもありますが、進み具合もみんなバラバラで、集中力にも差があるので、用意している課題の量も違います。でも、その子その子なりに出来たことを褒めます。その褒められているのを見ると「僕も!」と周りの子が頑張ります。



 例えばAちゃん,B君,Cちゃんは同じ年長の3人です。年長になるとノートに書く練習も始めていくのですが、3人ともまだまだひらがなには自信がなく、本当はしたくない課題。でもノートは憧れの小学生のノートなので、Aちゃんは必ず一番最初にします。ひらがな表を見ながら、悪戦苦闘ですが、名前に出てくる字はサッと書けるようになってきました。すかさず「お!ばっちりやな!」と褒めていると、Cちゃんもノートを広げます。「これで合ってる?」と聞いてくるので、「合ってる!ばっちりや!」と応えると、最近ノートを始めたばかりで、自信のないB君も「僕もする!」と、ノートを広げます。


 定員10人を年齢で半分にわけて、約5人を2人のスタッフで担当しています。学力も興味も違う5人の一人一人に合わせて、課題を用意するのは大変ですし、ペースも違い、声掛けも違い、気遣うところも違うので、毎回あたふたするのですが、子ども達はそれぞれ意識し合い、いい影響を与え合い、いい意味で競い合って、認め合っています。私が予想もしない他児の課題に興味を持ち、「僕もしたい」と言い出してくれます。


 また一人一人に合わせて、課題を用意していると、子どももこの人は僕の事をわかろうと努力してくれていると認めてくれているのか、親しみをもってくれるようになってきます。その関係がたまらなく、今日も子どもとの時間を楽しみつつ、冷静な観察分析をして、その子なりの「出来た」に応えられるよう取り組んでいきたいと思います

NPO法人 子育てサポートセンター・のびのび幼児クラブ

大阪市東成区大今里南にある子育て支援のNPO法人です。児童発達支援、放課後等デイサービス、保育事業、活動支援・相談支援を行っています。